INTERVIEW
鹿の沈黙と向き合って——劇団しか『鹿が見ていた』
言葉を持たない相手と、どう芝居をつくるか
- 公開日
- 2026年5月20日
- 語り手
- 三輪 さとし(劇団しか 主宰・演出)
- 聞き手
- 編集部

奈良学生演劇祭2025で大賞を受賞した劇団しか『鹿が見ていた』。言葉を持たない鹿との「対話」を、沈黙と所作だけで立ち上げた本作の演出・三輪さとしさんに、創作の背景を聞いた。
「鹿」を主役に据えた理由
——まず、なぜ鹿だったのでしょう。
奈良で芝居をやるなら、いつか鹿と向き合うことになると思っていました。観光地のアイコンとしてではなく、こちらをじっと見ている「他者」として。人間が一方的に意味を押しつけられない相手と、どう同じ時間を過ごせるか——そこに演劇の核心がある気がしたんです。
——舞台上に鹿は登場しません。
はい。あえて出しませんでした。見えない鹿の視線を、俳優の身体と客席の想像力でつくる。そのほうが、観ている人それぞれの「鹿」が立ち上がると思って。
沈黙をどう設計したか
長い沈黙は、ただ黙っているのではなく「聞いている」時間にしたかった。稽古では、相手の呼吸が変わる瞬間まで待つ練習をひたすら繰り返しました。間が怖くなくなると、芝居は急に強くなります。
来年もまた、奈良の夜の静けさを味方につけた作品を持っていきたいですね。
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